ドル・コスト平均法によるリスク軽減

今回はリスクを軽減するための有名な手法である、ドル・コスト平均法についてお話します。

ドル・コスト平均法とは

まずドル・コスト平均法とはどのような手法かを説明します。

説明するといっても極めて単純で、「毎月1万円の投資信託を購入する」というように一定期間に同額分買うというだけの手法です。

この手法の利点は何かというと、何度かに分けて買い付けるため、一番高いところで買ってしまってそのあとは値下がりを待つだけ、といったことを避けることが出来る点です。また、価格が高い時には少しだけ、低い時には多く買い付けることが出来るため平均取得価額を下げることができ、リターンの向上が期待できます。

逆にデメリットもあり、常に右肩上がりの市場では「最初に全額で買い付けておいた方がリターンが大きかった」といったことが起きる可能性もあります。

これは僕の考えですが、投資というのは如何に失敗を減らすかが重要だと思っているので、「最高値を付けているときに全額を投入する」といった失敗を回避できるこの手法は、多少のデメリットがあったとしても十分にメリットの大きい投資手法だと思います。

ドル・コスト平均法によるリターン

では実際に2000年1月から2020年5月までの期間にドル・コスト平均法で運用していた場合のリターンを見てみましょう。

今回も株価指数に日経平均株価を使い、毎月1日の始値で1万円分買い付け、配当利回り1.5%を再投資という条件で行います。[1][2]細かい設定が気にならない方はこちらから。

今回は毎月定額買い付けるということで、その年の何月の段階までに保有している数量に対して配当が貰えるか、といった点でもリターンが変わってくるため、その年の3月時点までに保有していた数量の0.015倍を実際に配当がもらえるであろう5月の保有数量に加えるという計算方法を採用しました。

 では早速結果を見てみましょう。

投資手法によるリターンの違いの折れ線グラフ

投資手法によるリターンの違い

比較のため投資元本250万円を2000年1月に全額投入した場合の結果も載せておきました。最終的な資産額としては全額を1度に投入した場合が約345万円、ドル・コスト法で運用した場合では約437万円という結果になりました。リターン率に直すと全額投入で約38%(前回計算した場合より低くなっているのは計算工程が増えたためです)、ドル・コスト平均法では74%となります。

なぜこれほどの違いが生まれたのでしょうか?次のグラフをご覧ください。

平均取得価額の折れ線グラフ

平均取得価額の違い

こちらのグラフは平均取得価額の推移を表しており、(投資元本)/(投資元本を使って購入した株数)を計算したものになります。(ここでの投資元本には配当金は含んでいません)

1度に全額投入した場合では当然ですが、平均取得価額は2000年1月の始値のまま変化しておらず、ドル・コスト平均法を用いた場合にはかなり低くなっていることが分かります。具体的な数値をだすと全額を1度に投資した場合は19002円であるのに対し、ドル・コスト平均法では最終的に13070円となりました

このように平均取得価額に6000円近くの差が生まれたのは日経平均の推移の仕方も関係しています。日経平均株価は長年低水準を保ち続け、最近ようやく過去最高価格を超えるところまで伸びてきていたので高値掴みした全額投入と、ドル・コスト法でここまでの差が生まれたのです。

S&P500のようにきれいな右肩上がり(下がるところは下がっていますが)を描いてきた指数ではこのような差は生まれず、寧ろリターンが下がるかもしれませんが(今回は計算していませんがいずれ記事にしようと思います)、今後どのように動くかはわからないので、やはりドル・コスト平均法での運用を検討すべきだと思います。

まとめ

・ドル・コスト平均法で運用することでリスクを軽減することができ、リターンの向上も期待できる。

タイトルでは「ドル・コスト平均法によるリスク軽減」としましたが、今回は初めの記事のようなリスク表現はせずに、簡単のため実際のリターンを見ていきました。ですが、リスクが下がるという点は十分に理解していただけたのではないかと思います。

今回までで投資期間によるリスクの軽減についての話は大体終わったので、次回は投資先(予定ですが投資地域ではなく、引き続き日本国内の株式、社債、国債?、銀行預金あたりを考えています)でのリターンの違いを見ていこうと思います。

 

<参考>

[1] https://indexes.nikkei.co.jp/nkave/index?type=download (閲覧日:2020/5/20)

[2] https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/misc/index.html (閲覧日:2020/5/20)