複利の力の大きさ

前回記事で予告した通り、今回は配当金を再投資した場合としなかった場合でリターンがどの程度違ってくるかを見ていきたいと思います。

配当金再投資なしの場合

さて、では配当金を再投資しない場合から。

2000年1月の始値を基準として、1か月ごとの資産額の変動割合の推移、つまりはリターン率(ここでは税金やインフレの影響は考慮していません)の推移を見ていきます。条件としては、株式指数は前回と同じく日経平均株価、期間は2000年1月から2020年5月までで、配当利回り1.5%とします。[1][2]

細かいことを気にしない方はこちらから

 

前回は投資開始時期を月単位でずらしており、計算の都合上投資開始12か月後に配当が入ってくるという設定で計算しましたが、今回は開始が2000年1月と固定なので、5月の価格の1.5%の配当を受け取るとします。(この決め方は色々迷いましたが、3月を期末としている企業が多いことと、簡単のため本決算発表時期のみの配当を考えることにしたのが主な理由です。一応述べておきましたが、この括弧内のことは特に気にしなくて大丈夫です。いずれ株をいつまでに買っておけば配当金が貰えるかなどについての記事を書こうと思いますが、ここでは省略します)

 

                         では計算結果を見ていきましょう。

配当金を再投資しない場合のリターン率の推移の折れ線グラフ

配当金を再投資しない場合のリターン率の推移

結果としては投資開始段階から約27%資産が増えました。価格自体は19002.86から19619.35と約3%しか上がっていないのでリターンの約90%が配当金によるものであることが分かります。

「配当金を再投資しなくても意外と増えてるな」

なんて思いませんでした?

 

ですが本番はこれからです。

配当金を再投資した場合

 さあそれではお待ちかねの、配当金を再投資した場合の結果です。

配当金を再投資した場合のリターン率の推移の折れ線グラフ

配当金を再投資した場合のリターン率の推移

はい、こちらはなんと約41%も資産が増えています。再投資しない場合との差は14%。これは投資元本を1千万円とすると140万円もの差が生まれたことを意味します。

ほとんど手間のかからない再投資という行為を行うだけで、たった20年でこれだけの差が生まれるのはとても大きいと思いませんか?

 

これがたった利回り1.5%の配当金を再投資することによって生まれる差です。投資期間をさらに長くとるとここからさらに複利の影響というものは大きくなっていきます。

複利の力の大きさがお分かりいただけたでしょうか?

まとめ

・配当金を再投資した場合としなかった場合ではリターンに大きな差が生まれる。

 今回は配当金の再投資をすることでどれほどリターンに違いが生まれるかを見てきました。リターンは年率に直すと2%とかなり低い水準になりましたが、複利の力の大きさが少しは分かっていただけたのではないかと思います。

 

こんなパッとしない日本の市場なわけですが、実は投資の仕方を変えることでリターンをもっと伸ばすことが出来ます。その手法こそがドル・コスト平均法と呼ばれるものです。というわけで次回はこのドル・コスト平均法についてのお話をしようと思います。

 

<参考>

[1] https://indexes.nikkei.co.jp/nkave/index?type=download (閲覧日:2020/5/20)

[2] https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/misc/index.html (閲覧日:2020/5/20)